🌍 クリマニュース 第4号
特集:ReFiメディア「CARBON Copy」リニューアル──データで見る再生金融のいま
🔍 特集:ReFiメディア「CARBON Copy」リニューアル──データで見る再生金融のいま
Web3×気候アクションの最前線を追ってきたメディア CARBON Copy が、この10月に大幅リニューアルを実施しました。
CARBON Copyといえば、ReFi(Regenerative Finance)に関するレポートや分析を定期的に発信する、世界でも数少ないReFi専門メディア。今回のアップデートでは、単なるニュースサイトから、“ReFiインテリジェンス・プラットフォーム”へと進化しています。
ホーム画面の中心は「ReFiの成果指標」
新しいトップページでは、コンテンツではなく「ReFiが生み出したインパクト総額」が主役に。
このメトリクスは次の3項目で構成されています。
投資(Investment in Impact Projects)
助成金(Grants in Impact Projects)
貸付(Lending in Impact Projects)
今後は、エコロジカルクレジット販売やUBI(ベーシックインカム)支払いなども加える予定とのこと。
これにより、「どれだけの資金がReFiプロジェクトに流れているのか」がリアルタイムで可視化されます。
インパクト・ダッシュボードの進化
従来は単一ビューだった「Impact Data」ページが、分野別ダッシュボードとして刷新。
各カテゴリごとに、
プロジェクト別の成果指標
2024年9月以降の時系列チャート
各分野の主要な指標
が閲覧可能になりました。
データはまだ拡充中ですが、「ReFiがどれだけ実社会で成果を出しているか」を測る初の定量可視化モデルとして注目されています。
ReFiプロジェクトの「ランドスケープ」化
プロジェクト一覧は表形式からカテゴリ別マップ形式(Landscape)へ。
分野や活動領域ごとに関連性が一目でわかるデザインとなり、
クリックすると詳細プロフィールや関連データページに遷移できます。
さらに、新設の「Venture Fundingページ」では、ReFi系スタートアップの資金調達情報を一覧化。
今後は助成金・クラウドファンディングなども含む包括的ファイナンスデータベースへ拡張予定です。
レポートとナレッジの一元化
CARBON Copyがこれまで発行してきたReFiレポート、特集記事、教育コンテンツもアーカイブ化され、学習・研究・事業開発など多様な立場からアクセス可能に。
また、ReFi関連プロジェクトが独自に発信している資料を横断的に収集し、ReFiナレッジベースを構築中とのことです。
参考リンク:
Introducing the New CARBON Copy
文・構成:濱田翔平(KlimaDAO JAPAN株式会社)
📰 今週の注目ニュース
■ 「温暖化は人間のせい?」という疑問に、科学で答える
朝日新聞 SDGs ACTION! の人気シリーズで、東大・江守正多教授(通称「気候変動の解説のおじさん」)が、温暖化をめぐるよくある懐疑論に答えています。
「太陽活動のせいでは?」「100年で1℃なら大したことないのでは?」「日本だけが頑張っても意味ないのでは?」など、SNSなどでよく見かける懐疑的な声を、最新の科学データとわかりやすい比喩で一つひとつ丁寧に解説。
専門的な内容をやさしく噛み砕きながら、なぜ“人間の活動が原因”と科学者たちが結論づけているのかがよくわかる内容になっています。
気候変動をめぐる議論の基礎を知りたい方におすすめの記事です。ぜひ読んでみてください。
■ Microsoft、岩石風化法で2.9万トンのCO₂除去を購入──“岩”で気候を救う、新たなカーボンリムーバルモデル
マイクロソフトは2030年までのカーボンネガティブ達成に向けて、英UNDO社から約2万8,900トン(約500万ドル相当)のCO₂除去を購入しました。これは「岩石風化法(Enhanced Rock Weathering:ERW)」を用いた同社最大規模の契約で、粉砕したケイ酸塩鉱物を農地に散布しCO₂と反応させて炭酸塩として固定する、地質サイクルを人工的に加速させる自然由来の除去技術です。
UNDOはGPS追跡・土壌分析・独立検証を通じて科学的に裏づけられたクレジットを発行し、カナダのInlandsis気候ファンドによる実績連動型デットファイナンスを採用することで、除去量の検証進捗に応じた段階的支払いと高い透明性を実現しています。また、CFC保険の付与により未達時のリスクを回避し、オンタリオ州では9万トンの岩石を3万エーカーの農地に散布して通常の営農サイクルの中で実施、土壌中和や肥沃化などの副次的効果も期待されています。
科学的検証、金融イノベーション、農業実装を融合した今回のモデルは、従来のオフセット購入から「実際にCO₂を地中に固定する成果報酬型投資」へと市場を進化させる象徴的な取り組みです。
■ テスラ失速、日産はBYDへ──転換期を迎えるEUカーボンクレジット市場
欧州で自動車メーカー間の取引に使われているカーボンクレジットは、ボランタリー市場ではなくEU排出規制制度に基づくものです。メーカーは新車の平均CO₂排出量をEU基準(2025年時点で約93g/km)以内に抑える必要があり、超過した場合はEVメーカーなどからクレジットを購入して不足分を補います。
この仕組みで大きな利益を上げてきたのがテスラでした。EV専業メーカーとして他社にクレジットを販売し、2019~2024年の累計で約118億ドルを稼ぎましたが、2025年第3四半期には収入が前年比44%減の4.17億ドルまで落ち込みました。各社が自社EVで排出目標を達成し始め、テスラのクレジットへの依存が急速に薄れています。
一方、かつてEVの先駆けだった日産は、欧州の排出基準に対応するため中国のBYDからクレジットを購入する見通しです。電動化で先行するBYDは余剰クレジットを持ち、価格も安いため、日産にとって魅力的な調達先となっています。
EUのカーボンクレジット市場は、テスラの独壇場だった移行期を経て、各社が自力で電動化を進める成熟段階に入りました。排出枠に頼る時代は終わりつつあり、いまや実際の排出削減と透明なクレジット取引が求められています。
✏️ 編集後記:ReFiを“測る”時代へ──CARBON Copyの進化が示すもの
今回のCARBON Copyのリニューアルは、ReFiを取り巻く世界にとって大きな節目といえるでしょう。これまでCARBON Copyは、ReFi領域の出来事やプロジェクトを丁寧に追う「観察者」のような存在でしたが、今回のアップデートによって、その役割は明確に変わりました。
新しいCARBON Copyは、プロジェクトの投資額や助成金、エコロジカルクレジットの販売量など、ReFiの成果をデータで可視化する“インフラ”として機能し始めています。単に「誰が何をしているか」ではなく、「どれだけ地球を再生したのか」を数値で示す。まさに、ReFiの理想を“測ることのできる現実”へと近づける試みです。
このアップデートによりCARBON Copyは、ReFiエコシステムの「観察者」から「データで支えるインフラ」へと進化。ReFiの真価──「どれだけ地球を再生したか」を測る時代が、いよいよ始まります。
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現在、カーボンクレジットをブロックチェーン上で取引できるマーケットプレイス「CarbonMall」の開発を進めています。
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