🌍 クリマニュース 第24号
特集:Klima Protocolが「Carbon Impact Strategy」を始動──DeFiの取引手数料を自動的にカーボンリタイアメントへ
🔍 特集:Klima Protocolが「Carbon Impact Strategy」を始動──DeFiの取引手数料を自動的にカーボンリタイアメントへ
DeFiとカーボンマーケットの圧倒的なスケール差
2026年3月30日、Klima Protocolは MetaDEXプロトコルの Hydrex、ステーブルコインプロトコルの Azos と共同で、Base(Coinbase L2)上に「Carbon Impact Strategy」を立ち上げたことを発表しました。4月1日よりHydrex上で稼働しています。
この取り組みの背景にあるのは、DeFiとカーボンマーケットの間にある圧倒的なスケール差です。Klima Protocolのブログによると、2025年時点でDeFiの年間取引量はPerpetual DEX、スポットDEX、レンディングなどを合わせて推定10兆ドル超。一方、ボランタリーカーボンマーケットは5億〜17億ドル規模にとどまり、2021年のピーク(約20億ドル)以降は縮小傾向にあります。
このギャップに対し、Carbon Impact Strategyは「DeFiのオンチェーン資本フローの一部を、計測可能で恒久的な気候インパクトに変換する」という実験的なアプローチを提示しています。
Carbon Impact Strategyの仕組み
メカニズムは以下の通りです。
Step 1: ユーザーがHydrexのガバナンストークンをロックし(veHYDX)、Carbon Impact Strategyに割り当てます。
Step 2: 各エポック(一定期間ごと)に、Hydrex上のトレーディング手数料やインセンティブが自動的に収集され、60%がkVCM(Klimaのカーボンアセットトークン)、40%がAZUSD(Azosのステーブルコイン)に変換されます。
Step 3: 変換されたアセットのうち、AZUSDは全額ユーザーに分配。kVCMは66%がユーザーに分配され、残りの33%がカーボンクレジットの恒久的なリタイアメント(償却)に使われます。
Step 4: リタイアされたkVCMはKlimaのRetirement Aggregatorを通じて処理され、オンチェーン上で検証可能な公開記録として残ります。リタイアメントの実績はCarbonmark.comのインパクトページで公開される予定です。
なぜこのモデルが注目に値するのか
このストラテジーの本質は、カーボンオフセットを「意志的な選択」から「経済活動の副産物」に変えることにあります。
従来のカーボンマーケットは、企業や個人が能動的にオフセットを「選択」する仕組みです。しかしKlima Protocolのブログが指摘するように、「参加は多くの場合選択であり、その選択はしばしば参加しないことになる」のが現実です。Carbon Impact Strategyでは、DeFiユーザーが通常のトレーディング活動を行うだけで、手数料の一部が自動的にカーボンリタイアメントに回ります。コンサルティング費用も手動介入も不要で、毎トレード、毎手数料、毎エポックで自動実行されます。
環境経済学が長年主張してきた「炭素の外部コストを経済活動に内部化する」という理論を、スマートコントラクトによって実装した形といえます。
Klima ProtocolのBase展開とエコシステム
Klima Protocolは、もともとPolygon上で稼働していたReFi(再生型金融)プロトコルですが、Base上への展開を進めています。今回のCarbon Impact Strategyは、Klima・Hydrex・Azosの3プロトコルが相互にインセンティブを整合させる設計になっています。KlimaはveHYDXをロックしてリタイアメントを最大化し、Hydrexは「Baseのインパクトレイヤー」としてのポジションを確立。Azosはリジェネラティブ資産の流動性インフラを提供します。
KlimaDAO JAPAN としても、Klima Protocolのこうしたグローバルな展開を注視しつつ、日本市場でのカーボンクレジット×Web3の社会実装を引き続き推進していきます。
詳細はKlima Protocolのブログ記事をご覧ください。
文・構成:濱田翔平(KlimaDAO JAPAN株式会社)
📰 今週の注目ニュース
■ 日本初、農業の多面的環境価値をクレジット化──株式会社BGが「Next Green Credit」を初回創出
株式会社BGは2026年3月5日、農業由来の環境クレジット「Next Green Credit」の第三者検証を完了し、初回クレジットとして2,223t-CO₂eを創出したと発表しました。GHG排出削減・吸収量はISO14064-2認証の方法論で算定され、ISO14065認定の第三者機関が検証。さらに、産業技術総合研究所(産総研)と開発した評価スキームにより、生物多様性(46.81%改善)、水資源消費量(74.67%改善)など、従来のカーボンクレジットでは対象外だった多面的な環境価値も定量化している点が特徴です。
クレジットは東京建物や日鉄興和不動産が購入。東京建物は東京駅直結の「TOFROM YAESU TOWER」内にカーボンニュートラルな社員食堂を展開し、日鉄興和不動産は開発敷地の既存樹木を農業資材に再利用する「緑の循環プロジェクト」と連携します。GHGだけでなく生物多様性や水質まで含む包括的な環境クレジットの実用化は、Jクレジットやボランタリー市場における方法論の多様化を考える上で注目すべき動きです。
■ 三重県南伊勢町のブルーカーボン・クレジットがNFTプロジェクト「SINRA」で販売開始
株式会社paramitaは2026年3月27日、環境価値NFTプロジェクト「SINRA(シンラ)」に三重県南伊勢町のブルーカーボン・クレジットを追加したと発表しました。SINRAは、J-クレジットなどの環境価値をNFTとして可視化し、個人や企業の環境関与を促進するプラットフォームです。
今回のクレジットは、NPO法人SEA藻が2015年から続けている熊野灘の藻場再生活動に基づくものです。気候変動による海水温上昇やガンガゼ(ウニ類)の食害で失われた藻場を再生し、そのCO₂吸収・固定量をJブルークレジットとして認証しています。NFTを通じて個人がブルーカーボンに関与できる仕組みは、カーボンクレジットのリテール化とWeb3の接点として興味深い事例です。
■ コペンハーゲン発「CopenPay」が世界展開へ──環境行動に特典を付与する観光プラットフォーム「DestinationPay」を構築
デンマークのコペンハーゲン観光局が2024年に開始した「CopenPay」は、旅行者のゴミ拾いや自転車移動といった環境行動に対し、無料体験や割引などの特典を提供する仕組みです。約2年間で約3万人が参加し、市内の自転車レンタルが59%増加。参加者の7割が「母国でも環境改善に取り組みたい」と回答するなど、行動変容効果も確認されています。
こうした実績を受け、同観光局は世界中の観光地域が利用できるオープンプラットフォーム「DestinationPay」を構築。日本を含む100ヵ所以上から問い合わせが寄せられています。カーボンクレジットの文脈では直接的ではないものの、環境行動のインセンティブ設計という点で、カーボンオフセットやグリーンツーリズムとの接続可能性を示す取り組みとして注目されます。
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気候金融・カーボンクレジット・再生型経済(ReFi)に関する調査・分析・政策提言機関です。国内外の環境市場や制度動向を独自にリサーチし、企業・自治体・金融機関に対して脱炭素戦略やカーボンクレジット活用のコンサルティングを提供しています。
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協力:ReFi Japan
監修:Fracton Ventures株式会社
■ KlimaDAO JAPAN株式会社
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現在、カーボンクレジットをブロックチェーン上で取引できるマーケットプレイス「CarbonMall」の開発を進めています。
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