🌍 クリマニュース 第2号
特集:Klima 2.0 ― カーボン市場を動かす新しいオープンプロトコル
🔍 特集:Klima 2.0 ― カーボン市場を動かす新しいオープンプロトコル
🔰 はじめに
カーボン市場はいま、大きな転換点を迎えています。
世界的に排出削減やオフセットの取り組みが進む一方で、その取引は依然として不透明・非効率・複雑な仕組みに縛られています。
私たちKlimaDAO JAPANが関わるKlima Protocol(Klima 2.0)は、この課題を根本から変えるために設計された「オープンなインフラ」です。
ブロックチェーンを活用して、カーボンクレジットの発行・取引・価格決定・リタイア(償却)を自動化し、誰でも、どこからでも参加できる透明で公平な市場を実現します。
🌀 カーボン市場を循環させるオープンプロトコル
この図は、Klima Protocolがどのように市場全体を循環させているかを示しています。
カーボンサプライ:プロジェクト開発者が高品質なクレジットを供給。
アセットマネジメント:プロトコルが価格と流動性を自動的に管理し、需給バランスを維持。
リタイア需要:企業や個人がオンチェーンでクレジットを透明に償却。
カーボンエクスポージャー:市場参加者が炭素価格やクレジット価値に直接アクセス。
すべてがスマートコントラクトで運用され、中央管理者を必要としません。
これにより、価値が循環する持続的なカーボン経済が実現します。
🪙 カーボン市場を支える3つのトークン設計
Klima 2.0の中核を成すのが、3つのトークンによる連携構造です。
まず、kVCMはエコシステム内での経済的な中軸となり、市場参加者がどのカーボンクラス(クレジットのカテゴリ)に価値を配分するかを決める際に使われます。
このトークンが、価格形成と市場の方向性を担う存在です。
次に、CARBONは、実際のカーボンクレジットを表すアセット層です。
各プロジェクトが発行する実体クレジット(例:J-クレジットなど)がこの層に紐づき、オンチェーン上で取引・償却できるようになります。
そして、K2は市場全体のリスクを調整するためのトークンで、価格変動を抑制し、安定的な市場運営を支える役割を果たします。
これら3つのトークンが連動することで、価格決定・流動性・報酬分配のすべてが自律的に動く市場が形成されます。
🌳 市場の効率化を支えるカーボンクラス構造
カーボンクラスとは、同じ性質を持つクレジット(例:J-クレジット〈森林〉など)をまとめた市場単位のことです。
各クラスでは、共通の基準に基づいて価格形成・流動性提供・需要管理が行われます。参加者がトークン(kVCM・K2)を配分することで、クラスごとの価値や需要が自動的に調整されます。
これにより、市場全体の公平性・透明性・効率性が維持され、「同質なクレジット同士が公正に評価される」新しい市場の形が生まれます。
KlimaDAO JAPANでは、この仕組みを通じて、日本のJ-クレジット制度に基づくクレジット(森林・再エネなど)をKlima Protocolのカーボンクラスに正式に組み込む取り組みを進めています。これにより、J-クレジットが国際的なデジタルカーボン市場で流通し、日本発のクレジットがより広い文脈で活用されることを目指しています。
⚙️ KlimaとAerodrome:市場を支える流動性の基盤
Klima Protocolの取引や価格形成を実際に支えているのが、ブロックチェーン「Base」上で稼働する分散型取引所 Aerodrome です。
Aerodromeは、DeFi領域で注目されているve(3,3)モデルを採用しており、流動性の供給や報酬配分を効率的にコントロールできる仕組みを備えています。
KlimaDAOは、このAerodromeにおいて大量のveAERO(ガバナンストークン)を保有しています。
そのため、自らのトークン(kVCMやK2など)の流動性プールを戦略的に管理し、
市場全体の価格安定性や取引効率を高めることができるのです。
Aerodromeが「カーボントークンが取引される基盤」だとすれば、Klima Protocolは「その背後で価格と価値を設計するインフラ層」です。
この2つの連携により、カーボン市場における取引・価格形成・報酬分配のすべてが統合された新しいエコシステムが成立しています。
🪴 まとめ
Klima 2.0は、カーボン市場のあらゆる課題――不透明さ、分断された流通、過剰なコスト――を解消するために生まれました。
ブロックチェーン技術によって、プロジェクト開発者・企業・自治体・個人など、すべての関係者が同じ土台の上で市場に参加できる環境を整えています。
参考文献・出典
文・構成:濱田翔平(KlimaDAO JAPAN株式会社)
📰 今週の注目ニュース
■ コインベース、低所得層に1万2000ドル相当のUSDCを給付──暗号資産を使った所得保障の実験「Future First」
米Coinbaseが支援するパイロットプログラム「Future First」により、ニューヨーク在住の若者160人が1万2000ドル(約176万円)相当のステーブルコインUSDCを受け取る取り組みが始まりました。非営利団体GiveDirectlyが運営し、給付金は8000ドルを一括、800ドルを5回に分けて支給。受給者はCoinbaseウォレット上で資金を受け取り、現金化、貯蓄、投資など自由に利用できます。
この実験は、暗号資産による直接支援が現金給付と比べてどのような効果や課題をもたらすかを検証するもの。USDCによる送金は手数料が数セントと安価で、プリペイドカードや銀行送金よりも効率的とされる一方、ステーブルコインの価格安定性や投機リスク、金融教育の不足なども懸念されています。資金はCoinbaseが提供し、米国内での新たな金融包摂モデルの試みとして注目を集めています。
■ DevvStream、暗号資産を財務戦略に統合──BTCとSOLを活用した「カーボン×クリプト財務」構想を加速
カーボンマネジメント企業 DevvStream Corp(Nasdaq: DEVS) は、同社の暗号資産トレジャリー(Crypto-Treasury)プログラムの進捗を公表しました。
報告によると、同社は22.2 BTC(約271万ドル)および12,128 SOL(約272万ドル)を保有しており、これらの資産をカストディ企業 BitGo Trust に預託。SOLについてはステーキングを通じた収益化を実施中です。
同プログラムは、24時間流動性の確保とトークン化資産への移行準備を目的としたもので、再生可能エネルギー施設やエネルギー取引契約など、実世界資産(RWA)のトークン化を見据えた財務基盤の構築を進めています。
CEOのSunny Trinh氏は「BTCは即時流動性、SOLはステーキング収益とRWA対応力をもたらす」と述べ、サステナビリティ事業の成長を支える新たなバランスシート戦略であると強調しました。
DevvStreamは自然由来・技術由来のカーボンクレジット開発や、EV充電・再エネ発電事業からのI-REC取得も手掛ける企業。
今回の取り組みは、「カーボン市場 × Web3ファイナンス」を結ぶ象徴的な動きとして注目されています。
■ スイスのFedrok AG、ウガンダで「竹炭素パイロット」開始──ブロックチェーンで土地回復と透明性を両立
スイスのブロックチェーン企業 Fedrok AG が、ウガンダのムクラ地域で進行中の竹を活用したカーボンパイロット事業を支援。現地団体 Timeless Bamboo が約10エーカーの土地を確保し、基礎調査・植林・地域協働の全工程をブロックチェーン上に記録することで、森林再生の透明性と信頼性を高めます。
Fedrokは女性・若者グループによる参加型の植林活動を支援し、土地の回復と地域経済の両立を目指す構え。データはすべて改ざん不可能な分散台帳に記録され、スマートコントラクトによる収益分配や進捗確認の自動化も導入されます。
同社は「衛星データやセンサーと連携することで、現場の進捗をリアルタイムで検証可能にする」と説明。プロジェクトの目的は、**“グリーンウォッシングの防止”と“地域主導の森林再生”**の両立にあります。
Fedrokはスイス拠点の環境データ基盤企業で、ブロックチェーンを活用したガバナンス・認証システムを提供。今回の取り組みは、気候スマート農業(Climate-Smart Agriculture)を支える新たなインフラ整備の一環として注目されています。
✏️ 編集後記:Klima 2.0始動に寄せて
いよいよ Klima 2.0 が始動します。
トークンローンチは 10月16日 に予定されており、 15日まで参加可能 です。
詳細については公式発表をぜひご確認ください:
https://x.com/KlimaDAO/status/1972628126082408741
振り返れば、KlimaDAOは2021年に実験的なモデルとして立ち上がりました。
当初のアプローチは非常に斬新で、カーボン市場へのインパクトを生み出しましたが、持続可能なモデルとしては十分ではありませんでした。
今回のKlima 2.0は、その経験と教訓をフルに活かした新たな進化形です。
トークン設計、カーボンクラス制度、流動性連携などの改良により、より安定性・透明性・公平性を備えたインフラを目指します。
Klima 2.0は、ReFiの理想を現実に近づけるための、次のステージへの実装です。
私たちKlimaDAO JAPANも、この新しい市場の仕組みを日本から支えていきます。
🌎以下の「Subscribe」からニュースレターの無料登録をお願いします🌎
💼【PR】Klima Research Institute(KRI)について
Klima Research Institute(KRI) は、KlimaDAO JAPAN株式会社が運営する
気候金融・カーボンクレジット・再生型経済(ReFi)に関する調査・分析・政策提言機関です。国内外の環境市場や制度動向を独自にリサーチし、企業・自治体・金融機関に対して脱炭素戦略やカーボンクレジット活用のコンサルティングを提供しています。
初回のご相談は無料で承っております。
脱炭素経営やJクレジット市場参入、ReFi領域での新規事業構想など、お気軽にご相談ください。
👉 詳しくはこちら:https://www.klimadao.jp/kri
ご相談・お問合せもこちらのページから承っております。
🏢 発行体について
著者(発行):KlimaDAO JAPAN株式会社
協力:ReFi Japan
監修:Fracton Ventures株式会社
■ KlimaDAO JAPAN株式会社
Web3・ブロックチェーン技術を活用し、日本から気候変動対策を変革する企業です。グローバルで再生型金融(ReFi)を推進する「Klima Protocol(旧:KlimaDAO)」の技術を基盤に、日本市場に適したサービスやシステム開発を通じて脱炭素社会の実現を支援しています。
現在、カーボンクレジットをブロックチェーン上で取引できるマーケットプレイス「CarbonMall」の開発を進めています。
■ ReFi Japan
気候変動や社会課題の解決を目的に、日本でReFi(再生金融)の理解と実践を広めるWeb3コミュニティです。国内外のReFiプロジェクトを紹介し、日本におけるReFiエコシステムの成長をサポートしています。
■ Fracton Ventures株式会社
“Protocol Studio for Ethereum” を掲げる、日本初のCrypto特化型インキュベーター。
これまでに18のWeb3プロジェクトを育成し、グローバルに送り出してきました。
書籍『Web3とDAO 誰もが主役になれる「新しい経済」』(かんき出版)の著者でもあり、DAO TOKYOなどのイベント開催を通じ、アジアのDAO/Cryptoエコシステムのハブとして活躍しています。
✉️ お問い合わせ
KlimaDAO JAPAN株式会社
info@klimadao.jp
免責事項
本ニュースレターの内容は、一般的な情報提供を目的としたものであり、暗号資産・トークンその他の金融商品の購入や売却を勧誘・推奨するものではありません。
掲載情報の正確性・完全性については細心の注意を払っておりますが、その内容を保証するものではなく、誤りや遅延が生じる可能性があります。
本ニュースレターのご利用により直接的または間接的に生じたいかなる損害についても、KlimaDAO JAPAN株式会社は一切の責任を負いかねます。
また、本ニュースレターは閲覧および情報収集のみを目的としてご利用いただき、無断での複製・転載・再配布等はご遠慮ください。
なお、個人情報はKlimaDAO JAPAN株式会社のプライバシーポリシーに基づき、適切かつ安全に取り扱います。





