🌍 クリマニュース 第13号
特集:新年のご挨拶と、2026年の予想──クレジットは「証明書」から「使われる仕組み」へ
🔍 特集:新年のご挨拶と、2026年の予想──クレジットは「証明書」から「使われる仕組み」へ
あけましておめでとうございます。クリマニュース編集部です。
新年の1発目ということで、今日はニュースを追うというより、今年はこんな方向に進むのではないかという予想を、短く書いてみたいと思います。
カーボンクレジットの世界は、ここ数年ずっと「どのクレジットが高品質か」「どうやって信頼を担保するか」という話をしてきました。もちろん重要です。ただ、今年はもう少し手前のクレジットが実際にどう使われ、どう運用され、どう説明されるのかに関心が移っていく気がしています。
これまでのクレジットは、企業がトン単位で調達して償却する、いわば「裏側の作業」になりがちでした。必要な作業ではあるけれど、生活者の目に触れることは少ない。ところが最近は、クレジットを小口化して商品やサービスに組み込み、普段の買い物の延長で関与できる形に落とし込もうとする動きが増えています。クレジットが金融商品というより、プロダクトの一部になっていくイメージです。
そうなってくると、次に大事になるのは「ちゃんと説明できるか」です。生活者に近づけば近づくほど、企業は「これは何のクレジットなのか」「本当に削減・除去があったのか」「いつ償却されたのか」を、わかりやすく示す必要が出てきます。紙の証明書やPDFの報告書だけで回そうとすると、運用が重くなり、説明も追いつかなくなる。だから、現場データ(IoT、衛星、画像、取引履歴など)を前提にして、デジタルで積み上がるログとして管理する流れが強まっていくはずです。クレジットが“使われる世界”に寄るほど、MRVは“紙”から“運用できるデータ”へ移っていく。
ブロックチェーンが効いてくるのは、派手なトークンの話というより、まさにこの部分です。誰が見ても同じ履歴を辿れること、後から改ざんしにくいこと、償却後も追跡できること、二重使用を防げること。こうした地味な要件が満たされると、企業は商品にクレジットを組み込みやすくなり、生活者も「何を買ったのか」を追える。クレジットを“安心して日常に入れる”ための土台として、ブロックチェーンが選ばれていく局面が増えていくと思います。
今年もしこの流れが進むなら、ポイントは「良いクレジットを作る」だけではありません。データで裏付けられ、プロダクトとして無理なく組み込めて、運用が回ること。2026年は、その条件を満たす仕組みが少しずつ増えていく一年になるのではないか。そんな期待を込めて、新年のご挨拶に代えたいと思います。
本年も、どうぞよろしくお願いいたします。
📰 今週の注目ニュース
■ 島根県立大学、学生の研究実装でJ-クレジット1tを創出──売却ではなく地域企業へ寄付、活用策を共同検討へ
島根県立大学は、学生有志による研究実装(放置竹林由来のバイオ炭農業)を通じて J-クレジット1t-CO₂ を国の制度に基づき正式に認証・確定したと発表しました。創出したクレジットは 2025年11月15日、島根トヨペットへ寄付され、現在は同社と学生が、寄付された環境価値を地域のためにどう活用するかの協議を進めています。
本プロジェクトは、卒業研究を起点に、竹の伐採・製炭、バイオ炭の農地施用と作物栽培、消費者調査(WTP)や商品開発(クラフトビールを2年連続で開発)、文化財の3Dアーカイブ、環境教育、国際研究へと展開し、最終的にJ-クレジット制度への申請・第三者認証までを約3年かけてつなげた点が特徴です。「研究の知見は制度や市場を通じて社会に届くのか」という問いを、実践で検証してきたとしています。
注目すべきは、成果の扱いとして “1トンを売らない” という選択をしたことです。削減量を単なる「数字」や「取引」で終わらせず、地域の中で環境価値を循環させることを重視し、寄付後の活用方法の検討プロセスまでを企業と共有する──教育と制度実装を結びつけた事例として示唆に富みます。
■ 九大・馬奈木俊介氏と味の素、一般社団法人CVoC設立──炭素クレジットをNFT化・細分化し「商品に付けて売る」流通を後押し
九州大学の馬奈木俊介主幹教授と味の素は、炭素クレジット市場の活性化を目指す一般社団法人 Circular Value of Carbon(CVoC) を設立しました。ブロックチェーンを活用し、企業が「炭素クレジット付き商品」を販売しやすくし、消費者が普段の買い物の中でクレジットに触れられる社会の実現を狙います。
CVoCは、炭素クレジットを NFT化 して細分化し、B2C商品に“付けられる”形で提供する構想です。これにより、従来はトン単位で扱われがちだったクレジットを、より小口で生活者向けに流通させることを想定しています。消費者はデジタル上でクレジットを「ため」、一定量になれば企業に譲渡できる仕組みも描かれており、生活者がクレジット流通に参加することで、GHG削減事業への関心(行動変容)につなげたい考えです。
また、ボランタリークレジットの調達支援に加え、J-クレジットなど国内制度クレジットも扱う方針とされます。ブロックチェーン上でプロジェクト情報の確認や使用済み(償却済み)クレジットの再利用防止を図ることで、透明性と信頼性を担保しつつ、賛同企業を募って民間主導で普及を進めるとしています。
■ 石垣島ブルーカーボン、オキナワモズクで「Jブルークレジット®」認証──“食用海藻×環境再生型養殖”がクレジット化
健康食品・化粧品通販のヴェントゥーノと、石垣島の勝水産は、オキナワモズク養殖を軸にした「石垣島ブルーカーボンプロジェクト」で、2025年度のJブルークレジット®認証(0.3t-CO₂)を取得したと発表しました。認証団体はジャパンブルーエコノミー技術研究組合(JBE)で、オキナワモズクによるJブルークレジット認証は石垣島で初の事例とされています。
背景として、沖縄はモズク生産の一大産地である一方、赤土流入や藻場縮小、日照・水温などの影響で生産・流通が年によって大きく変動する課題を抱えています。本プロジェクトは2014年に開始。勝水産が養殖を担い、ヴェントゥーノが九州大学の寄附講座(食品免疫分析学)で研究を進め、そのエビデンスをもとに製品化までつなげることで、藻場保全・再生と事業の持続性を両立させる設計を取ってきた点が特徴です。
なお、今回認証されたJブルークレジットは、JBEサイト上で口数型(総量配分方式)での購入公募が案内されており、1口11万円(税込)、意向表明期間(2025/12/29〜2026/2/13)と購入申込期間(2026/1/6〜2/20)が設定されています。
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