🌍 クリマニュース 第12号
特集:Regen Web3の井戸は乾いたのか? 再生型金融(ReFi)が今、立つべき道
🔍 特集:Regen Web3の井戸は乾いたのか? 再生型金融(ReFi)が今、立つべき道
気候危機と資金循環の交差点に立つReFi(再生型金融)は、この一年で激しい潮目の変化を迎えました。2025年12月、Kevin Owocki氏はReFi界隈に向けて衝撃的なメッセージを投げかけました——
「The Wells Are All Dry(井戸はすべて干上がった)。Regen Web3は岐路に立っている」。
本特集では、この発言の深層を探りつつ、賛否両論の議論と今後の展望を整理し、初心者にもわかる形でReFiの“今”を届けます。
1. Regen Web3とは何か? —— 背景と基礎
再生型金融(Regenerative Finance、略称ReFi)は、ブロックチェーン技術を通じて環境・社会の再生的価値の循環を生む経済圏を目指す潮流です。単なる投機ではなく、透明性・分散性・持続可能性を備えた仕組みで「社会的価値の定量化と資金循環」を実現することが狙いです。
初期の代表例として、カーボンクレジットのトークン化/取引や、公共財ファンディング(Public Goods Funding; PGF)のオンチェーン配分があります。これらは暗号市場全体の盛り上がりと共に注目され、2021〜2022年には多くのプロジェクトが旗を立てました。しかしその後、市場低迷や採用の停滞と共に資金流入は減速し、強気相場期のような勢いは失われました。
ReFiは、理想としてはプロダクトが実需を生み出し、ブロックチェーン上の活動が現実世界の価値と繋がることを目指しますが、黎明期には「理念先行・資金頼み」の側面が散見されたのです。
2. Kevin Owocki氏の発言とその核心
2025年12月7日、Gitcoin創設者でありReFiムーブメントの中心人物の一人でもあるKevin Owocki氏が自身のX(旧Twitter)アカウントで次のように発信しました。
“The regen space is standing in the middle of its own dusty main street. … Now the wells are empty.”
(Regen界隈は埃っぽいメインストリートの真ん中に立っている……今や井戸はすべて空だ。)
彼のメッセージのポイントは次の通りです:
2021〜2025年のReFi・オンチェーン公共財ファンディングの時代は停滞している
資金(トークン流入・助成金)は減り、トレジャリーは縮小、強気相場の“隠れ蓑”は消えた
多くのdappは「見た目はReFiでも、実需を持たない凡庸なもの」だった
「カジノ(投機・ミーム文化)」や「イベント」など、本質から逸れた選択肢は魅力的ではない
希望から馬力へ、楽観から実行へ ——
実際に需要を生み、収益を持つアプリケーションが新たな水源である
Owocki氏は、自らのReFi黎明期の経験(GitcoinのQuadratic Fundingや公共財支援)を振り返りつつ、ReFiが“幻想”ではなく“実装”の次の段階に進むべき時だと強く説きました。
彼の発言の核心は次のフレーズに集約されます:
“We need to build useful applications that create real demand for blockspace.”
つまり、単なる理念やトークンのやり取りではなく、社会・経済の現実世界で実需を生むサービスこそがReFiを持続可能にする——という呼びかけです。
3. 井戸が空になったのは何を意味するのか?
① 強気相場の“隠れ蓑”
2021〜2023年の暗号市場では、資金が多くReFi関連プロジェクトに流入しました。しかし多くは補助金、トークン発行、助成金依存であり、根本的な利用需要を十分に作れていなかったという反省があります。
Owocki氏はこれを次のように描写しています:
「善意の凡庸さは実質的な成果を生まなかった」
「単なるミーム、雰囲気、社交的繋がりに基づくトークンフローは終わりだ」
この指摘は、多くのプロジェクト運営者や参加者にとって痛烈な反省となりました。
4. 賛同と批判 —— コミュニティの反応
◎ 賛同派:「成熟と淘汰が必要だ」
賛同する声は、ReFiムーブメントの成熟を促す掛け声として受け止められました。強気相場に依存した資金流入が止まり、これまでのやり方が通用しなくなった今こそ、プロダクトによる実需と収益構造を確立する必要がある——という意見です。
特に支持された点:
成果と検証可能なインパクトを最優先する姿勢
プロトコル収益やブロックチェーン活用による自立的資金循環
“バイブス任せ”の文化からの脱却
これらは、ReFiがWeb3内だけの文化・理想論から脱却し、現実世界の社会インフラに近づくための方向性として評価されました。
◎ 批判・懐疑派:「ReFiは死んでいない」
一方でOwocki氏の見方を「ReFi全否定」と捉える意見もありました。主な指摘は次の通り:
成功事例(採用・利用が進むサービス)は存在する
新興国でのウォレット利用や、金融包摂に寄与する実例
オンチェーンで機能するカーボン市場の一部成功例
技術主導ではなく、現場のニーズ理解が先決
例えばRegen Networkの共同設立者は、技術主導のアプローチだけでは不十分であり、現実のエコロジー/コミュニティニーズから出発すべきという意見を示しました。
つまり、批判派はOwocki氏の主張を「タイミングや語調が厳しいだけで、ReFi自体の価値を否定するものではない」と捉え、「進化の必要性」には同意しつつも別の道筋を提示しています。
5. 未来のReFi —— どこへ向かうのか?
◎ 新しい水源:需要を生むアプリケーション
Owocki氏が繰り返し強調したのは、真の水源は“利用されるサービス”であるという点です。これは単に売上を上げるビジネス志向ではなく、次のような価値創出の方向を示唆しています:
人と人をつなぎ、プラスサムの需要を創出するプロダクト
ブロックチェーンの利用価値を実際に向上させる仕組み
社会全体の資金循環と実需を結びつける実装
収益=流動性という式は、ReFiが社会的価値を生みながら同時に自立的な資金循環を形成するという理想的な関係です。
◎ 成長分野としてのReFi
Owocki氏は、ReFiが伸びる可能性を持つ具体的領域として次のようなカテゴリーを挙げました:
Ethereum内部で成長する領域:オープンソース、プライバシー
Ethereum外部 × Web3接続分野:AI×Crypto、ステーブルコイン、IoT/量子/ロボティクス、DeSci、ローカリズムなど
これらは、ブロックチェーン技術が単なる付加価値ではなく基盤になる未来の可能性を示す領域です。
また、これらはReFiの枠組みを「カーボンだけ」「気候だけ」からさらに広く社会・経済のインフラに近づける可能性も秘めています。
6. まとめ:ReFiは終わったのか? あるいは始まったのか?
Kevin Owocki氏が投げた「井戸は乾いた」という言葉は、ReFiが単なる流行から成熟へ進むための痛みを示しているとも言えます。実際、ReFiの黎明期には強気相場の“隠れ蓑”に守られていた部分が強く、理念やバイブスが先行していた側面がありました。
しかし、批判的な反応にもあるように、ReFiは完全に死んだわけではありません。むしろ、実需と利用価値を生み出す段階へ移行しつつあるとも捉えられます。
昨今のReFiニュース(例:カーボン市場の進化やデータ基盤の強化など)は、理想と実装の両方を結ぶ「次の段階の基礎」を整えつつあることを示しています。
文・構成:濱田翔平(KlimaDAO JAPAN株式会社)
✏️ 編集後記:実験の先に残ったものが、プロダクトになる
2025年は、ReFiが「理念の時代」から「実装の時代」へ移る重要なターニングポイントでした。「資金流入が減る中で、リアルな需要を生む資産やサービスをどう作るか」という問いは、これからのReFiの持続可能性そのものです。
「Regen Web3が岐路に立つ」とは、終わりではなく成熟への過程なのかもしれません。これからの動きを、私たちは「実装と現実の架け橋」として丁寧に追い続けます。
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